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クラシックなモデルのニューバージョン

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Tags: , Eモビリティ, 効率

将来も内燃機関はまだまだ世界的に使用され続けるものと予測されます。ZFが提供する第4世代8速ATは優れたドライブトレインで、とりわけ、ハイブリット電動車においては数々の技術革新が見られます。
Johannes Winterhagen, 2019/09/10
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Johannes Winterhagen 物事が真に複雑になると、エネルギーとモビリティーを扱うこのジャーナリストは本領を発揮します。工場でエンジニアに会うことが大好きです。
ZFは、乗用車向け8速ATを2009年に市場投入して以来、数千万台を超える素晴らしい無数の車両を販売してきました。販売開始後、ZFは、自動車専門ジャーナリストからもドライバーたちからも大変評判の良いこのトルクコンバータを2度にわたって変更し、縦置きにしました。いずれの変更後もトランスミッションはより使い易くなり、効率は向上しました。8速AT第4世代は今や市場導入を待つばかりとなりました。

今回の特徴:ハイブリッド化を前提に設計

今回の特徴:ハイブリッド化を前提に設計

新型トランスミッションの生産は2022年に開始される予定です。これまでのモデルと新ドライブトレインの唯一の共通点は8速であることです。それ以外は数々の新しい特長が搭載されています。「ZFでは、今回初めて、ハイブリッド化を前提にプレミアムセグメント用のATを設計しました」とZFのカー パワートレイン テクノロジー部門の代表であるStephan von Schuckmannが話します。「出来上がったのは電気式 油圧式 機械式から成るモジュールシステムで、消費者が自分の車に理想的なドライブを好きなように組み合わせることができるようになるのです」。
ZFの第4世代8速ATはすべてのハイブリッドコンセプトでの使用に適しています。

新たな法的要件を満たす新トランスミッション

新たな法的要件を満たす新トランスミッション

どうしてモジュラー設計の採用に踏み切ったのでしょうか?理由は、これから先、自動車メーカーが守らなければならなくなる二酸化炭素排出量上限を定める厳しい法規の存在です。現在のところ、車が運転時に排出する二酸化炭素の量だけしか考慮されず、例えば、自動車生産時に排出される二酸化炭素は問われないため、どのメーカーもバッテリーで動く電動車の販売数を増やそうと努力しています。しかし、純粋な電動車は、すべての消費者のニーズや用途に適しているわけではありません。「従って、ZFでは、2030年になっても市場に販売される新車の約70%がまだ内燃機関を搭載していると予測しているのです」とvon Schuckmannは説明します。燃費を抑え、結果としてCO2排出量も削減する、そのためにこれから10年間はあらゆるタイプのハイブリッド化が主流となってゆくに違いありません。

あらゆるハイブリッド用途にも理想的

あらゆるハイブリッド用途にも理想的

まずここで重要となるコンセプトが高性能のプラグインハイブリッドです。これが搭載された車は、電気だけで最高速度約130㎞/時での走行が可能で、80~100kmの航続距離を実現します。ZFでは、内燃機関がサポートするこの電気駆動タイプをEVplusと呼んでいます。
新しく提供するモデルには48Vのマイルド ハイブリッド システムが搭載されています。このマイルド ハイブリッドでは、発進と加速時に電動モーターが稼働してサポートするのみならず、ブレーキ時に発生するエネルギーを電気に変換し、バッテリーに蓄電します。この新世代8速ATはすべてのハイブリッド コンセプトでの用途に適しており、出力も24KWから160KWまでをカバーします。
これまでの説明ですでに、この新しいトランスミッションを開発するのに技術的な微調整をするだけでは済まなかったことがお分かりいただけるでしょう。新しいプラグイン ハイブリッド車モデルの要件を満たすには、高性能な電動モーターをトランスミッション ハウジング(トルク コンバータ ベル ハウジング)内の限られた取付スペースに搭載しなければなりません。
「ZFでは、今回初めて、ハイブリッド化を前提にプレミアムセグメント用のATを設計しました」
— ZFのカー パワートレイン テクノロジー代表Stephan von Schuckmann

さらに高効率の電動モーターを使用

さらに高効率の電動モーターを使用

革新的なプロセスで製作されこの電動モーターを作り上げたのは、ZFのE-モビリティ部門です。モーターの性能はパワー密度を左右する銅の密度により決定されます。つまり、全体量に対する導電性材料の比率です。この比率を最大限に高めるため、ZFは、従来の銅線コイルを用いず、その代わりに溶接した銅製ロッドを使用することにしました。

パワーエレクトロニクス - トランスミッションハウジングにも搭載

パワーエレクトロニクス - トランスミッションハウジングにも搭載

さらなる新しい特色はパワーエレクトロニクスが取り付けられる場所です。
エンジンルームのスペースは極めて限られているため、ハイブリッド車の全シリーズにおいて、これまで、パワーエレクトロニクス系は車の別の場所に外付けされていました。結果として何メートルというケーブルでパワーエレクトロニクスとトランスミッションを結ばなければなりませんでした。これが新しいトランスミッションでは、パワーエレクトロニクス全体をトランスミッション ハウジング内に収めることに成功したため、不要となりました。Michael Ebenhoch博士が指揮する開発チームにとって、これは大きな課題でした。「ハウジング自体もスペース節約を試みる一方、パワーエレクトロニクスの寸法もできるだけ小さく設計しようというのは、まったくもって至難の業でした」とこのカー パワートレイン テクノロジー部長は話します。しかし、パワーエレクトロニクスの小型化には限界があります。

冷却、スイッチングおよび油圧システムへの新たなアプローチ

冷却、スイッチングおよび油圧システムへの新たなアプローチ

パワー半導体自身はあまり大きくなくても、スイッチングには高電流が必要です。このプロセスの一部として、半導体は何キロワット分もの熱を発すため、これを放熱しなければなりません。トランスミッションオイルでパワーエレクトロニクスを冷却する代わりに、車の空調システムの冷却系に接続することでこの問題を解決しました。トランスミッション ハウジングの中でパワーエレクトロニクスが十分なスペースを得ることができるよう、Ebenhoch率いる開発チームのエンジニアたちはギヤシフトのプロセスに関わっている油圧アクチュエータの全パーツを分析しました。エレクトロマグネティック(電磁)ダイレクトシフトバルブを使用することで、小型化が実現しました。従来の電動プレッシャーアクチュエータと違い、エレクトロマグネティック ダイレクト シフトバルブでは追加のピストンやブッシュ類が不要です。このようにして、これまで3.1リッターだった油圧制御ユニットが1.8リッターとコンパクトになりました。
また、新しいトランスミッションで使われるその他のパーツもすべてハイブリッド用を念頭にインテリジェントに設計されています。そして、とりわけ顕著なのがオイル回路です。これまではオイルポンプが2基使用されていて、つまり、エンジンが直接駆動する、効率の良いベーンセルポンプと電気走行時に作動する電動ポンプまたはパルスメモリー方式でした。これが次世代型8速ATでは、パワースプリットポンプ1基になります。内燃機関エンジンが停止していれば、小型の電動モーターがポンプを動かします。

メカニカル機構もさらに効率性が向上

メカニカル機構もさらに効率性が向上

一見、第4世代のトランスミッションに機構の変化は大してないように思えます:ブレーキ2台、クラッチ3台がプラネタリーギヤをスイッチするのはこれまでと同じです。「しかし、細かい部分まで厳重なチェックをし、フリクションパワーを改善することに成功しました」と、Ebenhochは話しています。大変な仕事でしたが、見返りは十分でした:メカニカル機構を最適化するだけで、エンジン駆動時におけるCO2排出量は、1キロメートル走行あたり1グラムも減少したのです。
第4世代8速ATの開発事業は、今や最終的段階にさしかかっています。BMWやFiat Chrysler(フィアット クライスラー)はすでに、このAT採用を決定しました。このトランスミッションを搭載した車の最初の走行試験が行われるのは今年後半となる見込みで、ドイツにあるZFのザールブリュッケン工場では、量産開始に向けた準備が始まっています。

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