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PHEV:双方の強みを活かして

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プラグイン・ハイブリッド電気自動車は真のオールラウンダーです。毎日の通勤で数キロ走行する場合でも、休日に長距離走行する場合でも、最適なドライブライン・テクノロジーがいつも手の中にあります。ここでは、よくある6つの先入観と専門家の見解をご紹介します。
Christine Kordt, 11月 15, 2018
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Christine Kordt 20年を超えるキャリアを有するドイツ・ケルン出身のこのジャーナリストの関心は、モビリティのあらゆる領域にわたります。仕事以外では、周辺の自然を歩いて散策することがお気に入りです。
私たちの多くは決まった日課を送っています。目覚まし時計のアラームで目を覚まし、朝食を大急ぎで詰め込んで仕事に出かけます。通勤時間も通常はあまり長くありません。ドイツ人の職場までの運転距離は、4人に3人が24km程度です。そしてくるまは夕方の帰宅時間まで職場に置かれ、帰宅後は自宅に再び駐車されます。長距離の運転が必要となるのは休日の自動車旅行や親戚を訪問するときなどで、多くはありません、「このようなシナリオでは、プラグイン・ハイブリッド電気自動車が力を発揮します。

バッテリーは、短距離分であれば通常のダウンタイムで再充電できます。一方、内燃エンジンは長距離走行に向いています」と、ZFのアドバンスト・エンジニアリング責任者のトルステン・ゴレウスキ(Torsten Gollewski)は語ります。
米国での状況もよく似ています。アメリカ自動車協会(AAA)の調査によれば一日当たりの平均走行距離は約31マイルであるにもかかわらず、完全な電気自動車であろうとハイブリッド電気自動車であろうと、電動ドライブ搭載車両は市場では厳しい状況にあります。批判の主なポイントは、高額すぎることと充電コラムが不十分であることです。
一部の国の調査は、ほとんどのくるまが日々の短距離走行にのみ使用されているという点を過小評価していますが、この短距離こそ、プラグイン・ハイブリッド車両が純粋の電気のみで走行できるのです。

プラグイン・ハイブリッド電気自動車:排ガス削減への即効薬

プラグイン・ハイブリッド電気自動車:排ガス削減への即効薬

自動車の走行で発生するCO₂を削減するには、化石燃料依存からの脱却を避けて通ることはできません。「プラグイン・ハイブリッド電気自動車は化石燃料放棄への道を切り拓きます。プラグイン・ハイブリッド電気自動車は、既存のエネルギーの流通インフラストラクチャを使用することができます。再生エネルギー資源やバイオ燃料を使用するときプラグイン・ハイブリッド電気自動車は、ゼロ・エミッション車両に変わります」と、カリフォルニア大学デービス校の名誉教授の職にあるアンドリュー・アルフォンソ・フランク博士は語ります。彼はビジネス経験もあるため、実務的な側面も熟知しています。
世界的に著名な駆動系の専門家であるフランク博士は、現代のプラグイン・ハイブリッド電気の原理の発明者の一人であり、30を超える特許を取得しています。
75
パーセント
までの燃費削減が新しい世代のプラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEV)によって達成可能です(60kmという控えめな推定電気走行距離をもとに算出したもので、バッテリーの大きさにより異なります)。これは、WLTPサイクル時の排ガスを最大75%削減します。

2つの利点:局所的ゼロ・エミッションと長距離

2つの利点:局所的ゼロ・エミッションと長距離

一つはっきりしていることがあります。内燃エンジンから電動モーターへの切り替えは、一夜にして行われるものではないということです。特にプラグイン・ハイブリッド電動ドライブ搭載車両は、より気候にやさしい自動車への道を進むうえで不可欠です。従来の車両に比べてプラグイン・ハイブリッド電気自動車は、燃料を節約し、二酸化炭素と酸化窒素の排出を低減します。プラグイン・ハイブリッド電気自動車に装備された電動モーターによって、ドライバーは局所的ゼロ・エミッションで走行することが可能になります。これは、都市中心部で自動車運転禁止が拡大する中、ますます重要になっています。

Eモビリティへの道を切り拓くプラグイン・ハイブリッド電気自動車

Eモビリティへの道を切り拓くプラグイン・ハイブリッド電気自動車

また、プラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEV)の別のメリットも過小評価されています。フラウンホーファーシステム・イノベーション研究所(ISI)が行った最新の調査は、「PHEVは、純粋なバッテリー駆動車両と異なり、走行距離が制限されるという最大の問題がないため、Eモビリティの推進に貢献する」としています。技術的観点では、再充電可能バッテリーは休止中に充電するだけでなく、外部電源にプラグを接続して数時間(バッテリーの大きさによって異なります)で充電することも可能です。しかし、このような明白なメリットにもかかわらず、人々はまだ懐疑的です。
フラウンホーファーシステム・イノベーション研究所(ISI)は、プラグイン・ハイブリッド電気自動車は純粋なバッテリー駆動の電気自動車のように送電系統から再充電でき、Eモビリティの拡大を加速すると指摘します。

懐疑主義者の6つの反対意見に対する専門家の答え:

1. プラグイン・ハイブリッド電気自動車はごまかしで、特にバッテリー電気自動車(BEV)と比較して環境にやさしくない。

環境保護における最優先事項は、実際の運転でCO₂を確実に削減にすることです。駆動系の専門家であるフランク教授は、短期的にはプラグイン・ハイブリッド電気自動車の方がBEVより化石燃料に置き換わることになると考えます。
さらに、現在のBEVは多くの場合、短距離走行用のセカンドカーとしてのみ使用されています。走行距離の問題から、BEVの所有者は内燃エンジンの車両も別に所有することが多いのです。現時点では、広くて家族にも乗り心地の良いファミリーカーとしても理想的なBEVがいつ登場するのか、まったく予測できません。ここで、PHEVが確実にCO₂を最大限削減するための最良の解決策として浮かび上がります。「中型のプラグイン・ハイブリッド電気自動車なら、家族も休日に出かけることができると同時に、都市中心部の環境ゾーンに適用されるより厳しい要件にも対応できます」と、ゴレウスキは説明します。

2. プラグイン・ハイブリッド電気自動車の平均燃費の推定は楽観的である。ほとんどのドライバーは、所有する自動車を電気走行させることはあまりない。

燃費とガス排出は、PHEV所有者の車両の使用方法によって変わります。走行距離と運転行動によっては、PHEVを一年中電気で走行させることも可能で、単に習慣の問題なのです。ISIによる調査では、電気での走行可能距離が長くなるとともに電気走行も増大することが実証されています。走行可能距離は今後長くなることが見込まれるため、PHEVがCO₂削減に果たす役割も次第に拡大するでしょう。

3. CO₂は、電源を使用するPHEVに料金が課せられる場合にのみ削減される。

最悪を想定してPHEVにまったく料金が課せられないとしても、PHEVは、従来の内燃エンジン車両に比べて約24%のCO₂を削減します。これは、ドイツのアーヘンに拠点を置く、自動車ドライブライン・テクノロジーのエンジニアリングと開発サービスを行う世界最大規模のプロバイダーであるFEVグループが行ったシミュレーションで示されました。いくつかの要因がこれを支持しています。強力な電動ドライブと大容量のバッテリーを組み合わせることにより、優れた制動力回生が可能になります。この自己回生されたエネルギーによって、ドライバーは長距離でも電気走行することができます。さらに、電動ドライブは、内燃エンジンがもっとも効率的な運転点でのみ動作するようにサポートします。フルハイブリッド車両のパイオニアであるトヨタの調査では、外部充電機能のないハイブリッド電気自動車でも、都市部での走行距離のほぼ80%を完全電気走行できることが示されました。

4. プラグイン・ハイブリッド電気自動車が都市中心部での走行を許可されても、最終的には内燃エンジンでの走行にまた切り替えられる。

たしかに、PHEVは電気でも内燃エンジンでも走行可能です。都市の空気をきれいにするには、確実に電気走行をするように、管理や奨励金などの導入も必要です。熱探知カメラやジオフェンシング・ソリューションはこれを管理するツールで、車両は、内燃エンジンと電動ドライブのいずれを使用しているかについて、地方自治体のデータネットワークに情報を送信します。これを怠ると罰金が課せられることもあります。また、PHEVは、ジオフェンシングデータやバッテリー状況に基づく自動プロセスの中で、運転モードを自ら選択することもできます。このようなテクノロジーはすでに利用可能となっています。
これをサポートする最新のナビゲーションシステムは、車両がいつ環境ゾーンに到達し、そこから電気走行するためのバッテリー容量がいつ必要となるかを計算することができます。

5. BEVとPHEVという2つの異なるテクノロジーを同時に開発することは合理的でない。

両方のシステムは、バッテリーと充電システムが技術面で今後継続的に開発が行われることによって、メリットを得られます。ストレージ容量の拡大とともにコストも経時的に削減されます。さらに、プラグイン・ハイブリッド電気自動車と電気自動車は、既存の充電コラムを共有しています。このような需要は、充電インフラストラクチャの急速な拡大への圧力を高めます。同時に、これはPHEVの内燃エンジンを確実に効率化できることを意味しています。

6. 中国人だけがバッテリー電気自動車を運転することになる日は遠くない。

国家規制を背景に、中国はBEVおよびプラグイン・ハイブリッド電気自動車の世界有数の市場となっています。2019年以降、自動車メーカーはすべての新しい規制に対応すべく、全生産台数の10%を新エネルギー自動車とする割当(NEV割当)を満たさなくてはならなくなります。2020年以降は、この割当は12%に引き上げられます。新エネルギー自動車には、少なくとも50kmの距離を完全電動走行できることを条件として、完全電気自動車とプラグイン・ハイブリッド電気自動車の両方が含まれます。

テクノロジーに関する議論が最大の利益をもたらす

テクノロジーに関する議論が最大の利益をもたらす

特に意欲的な先進工業国では、個々のモビリティへの需要は急速に拡大しています。内燃エンジンに完全に頼る自家輸送が気候と環境に多大な影響を与えることは、疑う余地がありません。世界中の立法機関がフリートの燃料消費とガス排出に対して重要な数値の引き締めを行っています。内燃エンジンに代わる走行の概念を求める動きは、かつてない程高まっています。「未来のモビリティは、ただ一つのドライブソリューションに制限されることにはならないでしょう。顧客や市場の要件や要望はあまりにも多様だからです。テクノロジーに関する議論は、代替となるあらゆるドライブ・テクノロジー、燃料の種類、そして特にハイブリッド・ドライブの範囲を考慮する必要があります」と、ZFのカー・パワートレイン・テクノロジー部門のシュテファン・フォン・シュックマン(Stephan von Schuckmann)は言います。
上海のような大都市の空気の質は、過密な交通状況によって損なわれています。中国では、2019年から自動車メーカーは全生産台数の10%を新エネルギー自動車(NEV)とする割当に準拠する義務を負います。

要約: ほとんどの人々は、日常生活の中で自動車を長距離走らせることはありません。自動車社会の米国でさえも、一日当たりの平均走行距離は約50kmにすぎません。にもかかわらず、バッテリー電気自動車は市場で厳しい状況にあります。その理由は、価格が高額であること、充電ステーションが不十分であること、手に入りにくいということなど、数多くあります。このような問題に対する解決策が見つかるまで、プラグイン・ハイブリッド電気自動車(PHEV)は、ガス排出の少ないモビリティを実現する即効薬だと言えるでしょう。電源から持続可能な形で送られるエネルギーを充電することで、PHEVは、特に排気ガスの影響の大きな都市部でもゼロ・エミッションで走行します。長距離では、十分な距離を走行できるように内燃エンジンが燃費を最適化します。

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